23路線バスの運転手について研究をしています。このテーマについては学部のときから取り組んでいて、卒業論文から一貫して扱っています。現在、少子化の影響を受けて多くの産業で人手不足が加速しています。学校の先生や保育士などの一部職業では人手不足が広く認識され、どう対応するかが社会問題にもなり、さまざまな人が研究するようになりました。しかし、乗り物の運転士、特に路線バスの運転手については、徐々に影響が出始めているにもかかわらず社会的にもあまり注目されていません。そこで、どのような人が路線バスの運転手になるか、どのようなきっかけで辞めていく傾向があるかを研究し、運転手をめぐる状況について明らかにしたいと考えています。博士課程前期1年目は、産業関係学の基本を学ぶ授業が多く、また学部の頃よりも忙しくなったこともあり、なかなか自分の研究を行う時間が取れませんでした。しかし2年目からは余裕もできるので、路線バスの関係者などからのヒアリング含め、新たな情報・知見を得た上で研究に専念し、論文を作成する予定です。修士論文を作成して博士課程(前期)を修了できれば、一度社会に出たいと思います。研究科の特徴としても、一度社会に出て働き新たな視点を得ることは重要だと考えています。その上で、博士課程(後期)に戻ってまた研究ができれば、とても嬉しいですね。博士課程(前期)雇用・労働をめぐる課題を見つけ分析する少子高齢化や雇用の流動化など、雇用をめぐる状況は大きな変革期を迎えています。雇用・労働に関する問題もさらに多様になり、新しい課題も出てきました。博士課程(前期)では、自らの興味に基づき問題を見つけ、テキストと数値の両面からデータを実証・分析する能力を身につけます。そして雇用・労働に関する問題を体系的に認識し、理論的知見に基づいて新たな雇用ルールを提起できる人材を目指します。博士課程(後期)新しい雇用制度やルールを作れるような人材を目指す博士課程(後期)では、さらに発展的な研究を行います。そのためには、事実と理論の双方に基づいて課題を認識し、理解しなければいけません。博士論文等の学術論文の執筆や学会での研究発表を通じ、新たな雇用制度を提起できるよう、理論的知見をより深めていきます。そして、雇用・労働に関する社会的な課題を解決に導ける、新しい雇用ルールの制度設計ができるような能力を身につけます。産業関係学専攻博士課程(前期)新谷 凌平産業関係学の基礎的理論とリサーチ方法を学ぶ博士課程(前期)の授業は、「産業関係学研究」や「労働市場研究」などの必修科目と、フィールドワークなどを行う選択科目に分かれます。必修科目では、産業関係学の体系と方法ならびに市場メカニズムに関する理解を深め、雇用・労働に関する問題を実証分析に基づいて体系的に認識する方法を学びます。選択科目では、雇用・労働現象を理解するための理論を学び、独力でリサーチできる力を身につけます。知見を高度に洗練させ、論文にまとめ公表していく博士課程(後期)では、専門知識を深め探求します。最終的に目指すのは、博士論文の作成です。博士論文の作成にあたっては指導教員から専門的な指導を受けると同時に、合同演習形式である「アドバンスト・リサーチ・セミナー」などで様々な視点からの助言を受けます。研究の結果は学会発表や学術論文として公表し、教員や専門家の評価とフィードバックを受け、より深く、より洗練されたものへと高めていきます。バスの運転手が置かれた状況を人手不足の視点から明らかに大学院で学べること私の研究計画
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